fin d’année

JJが3日間、レコーディングでいないので、1人で山へ。昨日はいい天気だった。町中はクリスマスで賑わっているけども、ここは静か。

家の中では、テキストを書いてる。コンペに応募するための書類制作と牛小屋について建築学生からの質問への返答。フランス語と英語。久しぶりに書くと、言葉が出てこなくて驚く。牛小屋の仕事では全部ドイツ語だったから、その硬いドイツ語を今度はフランス語にして、質問は英語で答える。頭の中でも色々な言葉が交差する。言葉も使わないとどんどん忘れてしまうので、本も読み続けていかないと。

今読んでいる本「Kaputt」は、イタリア人(Malaparteマラパルテ)の作家が書いた、第二次世界大戦のヨーロッパ各地の前線の記録。70年前に書かれていることが、今まさにヨーロッパで起きていること(移民やファシズム)と変わらない。彼が描いている時代は、インターネットも携帯電話も無い時代。そのせいか、細かいディテールが事細かに描写されている。「Kaputt」は、ドイツ語で「壊れた」とか「機能しない」の意味。何が壊れているのか、読みながら色々考えさせられる。マラパルテのカプリ島の断崖に建つ家は、建築的にも有名。いつか見に行きたい。

山小屋で煖炉の火をつけながら、テキストを書いたり本を読んで過ごす年の暮れ。至福の時間。明日、チューリッヒへ戻ります。

güetzli

年末恒例のクリスマスのクッキーを焼く。カレー用に買ったココナッツが沢山残っていたので、ココナッツクッキーを作る。甘さも控えめで、JJがもう半分以上食べてしまった。とても簡単だったので、また作るとしよう。

St. Nikolaus

夕方、事務所の中庭から子供達の声が聞こえてきた。何だと思ったら、聖ニコラウスが来て、この近所の子供達にプレゼントをあげている。そういえば、12月6日は、聖ニコラウスの日。サンタの格好したニコラウスが事前に両親から、今年の子供の様子を、聞き込みして、大きなノートを開いて、その子供のいいところ、悪いところをみんなの前で発表する。悪い子にはそれをお仕置きする、シュムッツリという悪魔みたいなおばけが来て森へ連れ去ってしまう。今は、もちろんそんなことはないのと、怖すぎるというので、甘くなっているみたい。いい子ならプレゼントが貰えて、悪い子は森に捨てられるって、極端だなあ。

cheminée

1週間近く、山で過ごしている。雪も降って、とても静か。JJは煖炉から離れず、火を絶やさないようにしている。煖炉番長。だから、部屋中暖かい。番長曰く、燃え上がる「絨毯」の上に、1本ずつ、木を乗せていく。それをずっと繰り返す。朝、起きて、煖炉を覗くと、昨夜の残り木は、ほんの少しだけしか残っていない。さすが、番長!

これから掃除して、チューリッヒへ帰ります。ネコも遊びに来たし、一緒に散歩もしたし、本も沢山読んで、たっぷり寝て、お風呂も入って、充電完了。これで年末の慌ただしい季節も、難なく迎えられることでしょう。

neko

山の散歩から帰ってきたら、家の前の石の上で日向ぼっこしていたネコ。私が横に座った途端、膝の上に乗っかってきた。全く物怖じしない。しばらく一緒に遊んでいたら、思い出したように、泉の水を飲んで、どこかに行ってしまった。また、遊びにきてね!

Curcuma

JJの友人ハミッド(モロッコ人)と20年ぶりのセッションに付いて行った。彼が住んでいるBielまで電車に乗ること1時間半。自宅の屋根裏がスタジオで、世界中のパーカッションが所狭しと置いてある。彼の前の彼女が、たまたまバーゼルの展覧会で演奏しているJJを聞いた故、ハミッドから連絡があったという、不思議な縁。

甘いミントティーとケーキをご馳走になってから、2人はセッション開始。ハミッドが弾く、アフリカのGuembri (バス)、インドのTablasが、JJの法螺貝やトロンボーンとおしゃべりしている。私は部屋の片隅で2人の心地よい音楽を聴きながら、異国を旅行しているような夢心地になって、何度かウトウトしてしまう。

長い間一緒に演奏していないというのが嘘のような、息のあった音楽でした。来月は早速、ベルンでコンサートがある。デュオの名前は「ククマ(フランス語で”ターメリック”)」と決まった。2人の音楽がスパイシーで、体に良いからね。

triangle

日本へ帰国したお友達が、スイスへ遊びにきた。10月の上旬に日本で会ったので、会うのは久しぶりではないのだけども、共通の友達も誘って、JJも一緒に家でゆっくりご飯。色々話せて楽しかった。年中会えないからこそ、会える時にしっかり会う。写真は、山小屋みたいなケーキ。甘かった。

Andermatt-Brig

以前、原鳥事務所に勤めていたコンスタンスが作った山のプロジェクトの見学会へ。場所は、チューリッヒから電車で2時間のアンデルマット。

アンデルマットは、アルプスのほぼ中央に位置し東西南北が交差する町で、現在はロシアの投資家が、ホテルや別荘を乱雑に建てまくってる。アルプスに似合わない、成金趣味の家が増えてる。

コンスタンスのプロジェクトは、住宅の最上階部分と屋根の改築。よく見ると、アシメントリー。中も広々として、木を沢山使っていた。限られた予算の中で、とてもシンプルな空間に収まっていた。

家の見学を終え、帰りは、ここから西の谷を走る列車で前に住んでいたVispへ向かう。途中、工事があり、バスに乗り換えなければいけなかったけども、久しぶりに前住んでいた村に立ち寄り、懐かしくなった。電車を乗り換えたBrigでこの地方の有名なパンとチーズをJJのお土産用に買う。

Joyeux Anniversaire!

41歳になりました! お祝いメール、カード、色んな人からもらい、感謝!  今日は朝から、いいお天気。41年前の東京はどんな天気だったのだろう。

写真は事務所の中庭の紅葉。この中庭には入れないから、上から見るだけ。目の前のアパートも人が住んでいるのに、殆ど誰も使っていない。本当に静かで、猫がよく昼寝してる。

今晩は、JJが晩御飯を作ってお祝いしてくれる。メニューは私がリクエストした「ほうれん草タルト」。野菜たっぷりの美味しいご飯、楽しみ。

40代も、家族や友人と仲良く、笑顔で過ごして、日々を重ねていこう。

Mayline

図面は殆どコンピューターで描くけども、最初のスケッチや、考えながら描くには、手で描くのが一番。

この平行定規「Mayline(メイライン)」はアメリカ製で、両サイドと上部をケーブルで引っ張りながら定規を動かす原始的なもの。原鳥でも同じのを使っていた。新たに買おうとして値段を調べたら、新品が3万円ぐらいする。偶然、インターネットの掲示板で中古が見つかり、その十分の一の値段で買うことができた。

売ってくれた人の旦那さんが建築家で、もう使わなくなったから手放すことにしたそうだ。こんなにシンプルで実用的なのに、どんどん使われなくなってくる。コンピューターで描く線と、この平行定規で描く線は全く違う。

とても綺麗な状態で譲ってもらい大満足。その足で、ホームセンターへ立ち寄り、木板を買い、4隅をしっかり止め、平行定規机が完成。机の足は自分でスプレーを塗った。早速、鉛筆を回しながら、線を描く。紙に線を描くだけだけど、気持ちがいい。

Josefwiese

チューリッヒも秋晴れの気持ちいい天気が続いている。家と事務所のすぐ近くの公園も、卓球やペタンク、日向ぼっこしている人たちで賑わっている。長い冬が始まる前にここぞとばかりに、みんな外に出て日光を浴びる。